K-NIC Social Business School
地域や社会の課題に対して、自ら培ってきた知識、経験、ネットワーク等を活かし、ビジネスの手法を用い収益もあげながら解決を目指す、ソーシャルビジネスによる起業に関心がある方が近年増えています。そうした方を対象とした、川崎市ソーシャルビジネス連続講座「『K-NIC Social Business School(全6回)」を2022年10月から12月にかけて、Kawasaki-NEDO Innovation Centerにおいて開催しています。
このセミナーは、起業時にメリットが受けられる「特定創業支援」の認定を受けており、所定の要件を満たした方は法律に基づく支援を受けることができます。今回の受講生には、会社員をしながらも社会的な事業に関わるきっかけを模索されている方、個人事業主としてお仕事されている傍ら新規事業を立ち上げたいと検討されている方、持続可能な事業展開と組織運営の課題を抱えるNPOの方など、個性的で幅広い背景や思いをお持ちの方にお集まり頂いております。
このセミナーは、起業時にメリットが受けられる「特定創業支援」の認定を受けており、所定の要件を満たした方は法律に基づく支援を受けることができます。今回の受講生には、会社員をしながらも社会的な事業に関わるきっかけを模索されている方、個人事業主としてお仕事されている傍ら新規事業を立ち上げたいと検討されている方、持続可能な事業展開と組織運営の課題を抱えるNPOの方など、個性的で幅広い背景や思いをお持ちの方にお集まり頂いております。
第4回 11月14日 社会課題をビジネスで解決するには ~ソーシャルビジネスのコンセプト策定~
本イベントではソーシャルビジネスを如何にビジネスとして成立させ、成長させていくか。事例を用いながらお伝えしていきます。第4回目の今回は、一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ アソシエイト・共同代表 土岐三輪 氏に語って頂きました。
簡単に概要を纏めましたので、気軽にご一読いただければ幸いです。
簡単に概要を纏めましたので、気軽にご一読いただければ幸いです。
講師プロフィール
一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ アソシエイト・共同代表
土岐 三輪 氏
インパクト・マネジメント・ラボ
https://impact-management-lab.org/
土岐三輪氏メンバーページ
https://impact-management-lab.org/about/members/
○経歴
新卒後、ITコンサルティング勤務の後、ベンチャー企業にて環境・CSRコンサルティングに携わる。NPOにて、東日本大震災における地域経済の復興支援事業に1年半、バングラデシュの農村における女性の収入創出事業に3年間従事。社会的インパクト投資、社会起業家支援のNPOを経て、2019年よりソーシャル分野におけるフリーランスとして独立。社会的インパクト・マネジメントを軸に、NPOの伴走支援、SDGsコンサルティング、ソーシャル分野の事業開発を手掛ける。グロービス経営大学院卒。
土岐 三輪 氏
インパクト・マネジメント・ラボ
https://impact-management-lab.org/
土岐三輪氏メンバーページ
https://impact-management-lab.org/about/members/
○経歴
新卒後、ITコンサルティング勤務の後、ベンチャー企業にて環境・CSRコンサルティングに携わる。NPOにて、東日本大震災における地域経済の復興支援事業に1年半、バングラデシュの農村における女性の収入創出事業に3年間従事。社会的インパクト投資、社会起業家支援のNPOを経て、2019年よりソーシャル分野におけるフリーランスとして独立。社会的インパクト・マネジメントを軸に、NPOの伴走支援、SDGsコンサルティング、ソーシャル分野の事業開発を手掛ける。グロービス経営大学院卒。
目次
・事業プラン【ソーシャルコンセプト】
・課題を深掘る
・事業プラン【ビジネスコンセプト】
・課題を深掘る
・事業プラン【ビジネスコンセプト】
事業プラン【ソーシャルコンセプト】
第1回~第3回では、事業プラン、いわゆるソーシャルコンセプトについて、①社会課題の現状:誰のどんな課題なのか、②原因:なぜその社会課題が生じているのか、③対策:何を提供することで課題を解決するのか、④ビジョン:理想の姿の4点に整理したと思います。
これを簡単な図にしていくと(図1)、まず、問題を抱える対象者への対策を考える前になぜそういう現状になっているかという原因を深掘りします。
(図1)事業プラン【ソーシャルコンセプト】
なぜなら、簡単な問題であれば解決されているはずで、数年、数十年解決されていないということは問題に対するアプローチに障壁があることが考えられるからです。そのため、原因をしっかり深掘りすることが重要です。
そして、この現状と自分たちが思い描くあるべき姿であるミッションやビジョンとのギャップが解決したい課題となり、活動や対策を提供することになると思います。この対象者に価値を提供することであるべき姿になってもらうことを介入やアプローチと呼びます。このフレームワークは一般的に、「As is to beフレームワーク」や「ギャップ分析」といわれますが、ソーシャスビジネスに当てはめるとこういった構造になります。
これを簡単な図にしていくと(図1)、まず、問題を抱える対象者への対策を考える前になぜそういう現状になっているかという原因を深掘りします。
(図1)事業プラン【ソーシャルコンセプト】
なぜなら、簡単な問題であれば解決されているはずで、数年、数十年解決されていないということは問題に対するアプローチに障壁があることが考えられるからです。そのため、原因をしっかり深掘りすることが重要です。
そして、この現状と自分たちが思い描くあるべき姿であるミッションやビジョンとのギャップが解決したい課題となり、活動や対策を提供することになると思います。この対象者に価値を提供することであるべき姿になってもらうことを介入やアプローチと呼びます。このフレームワークは一般的に、「As is to beフレームワーク」や「ギャップ分析」といわれますが、ソーシャスビジネスに当てはめるとこういった構造になります。
課題を深掘る
実際にソーシャルコンセプトの4つの要素についてどのように整理するかというと、
①調査・リサーチ
②関係者インタビュー
③システムの可視化
④問題分析
⑤目的分析
の5つのステップを進めます。(図2)
(図2)課題の深掘り
①調査・リサーチ
課題を取り巻く状況を網羅的に把握しましょう。世界・国レベルの動向を掴んでおくと事業モデルを立てるときに役立ちます。また、問題の大きさや対応策については、行政の統計データや各業界のレポート、書籍など該当分野の情報を集めることが多いです。そして、対象の地域の情報を対象者や対象者の関係者の方々にリサーチすることがこのフェーズでは考えられます。
②関係者インタビュー
現場に足を運ぶ大切な作業になります。関係者インタビューで課題を深掘りする方法として、無意識に行っている行動から深層心理を見出す「行動観察」と本音を探る「個別インタビュー」がありますが、個別インタビューは問題や条件によって難しいところもあるため、観察とインタビューを組み合わせるのがよいと思います。インタビューは少なくとも3人、できれば10人を目指して話を聞いてみましょう。
③システムの可視化
課題は複雑に入り組んでいる可能性があるので、収集した情報をもとに対象者やその関係者の状況を図にして、システムの可視化をしてみましょう。今後事業モデルをつくっていく上で、サポートしてくれそうな人やネガティブな影響を与えてきそうな人などが明らかになり、それらの関係者と手を組むことに繋がるかもしれません。
④問題分析
ここから対策にいきたいところですが、問題分析をすることで適切な打ち手を生み出すことや自分たちの姿勢が誤っていた際の助けになります。具体的には、因果関係・要素分解といった考え方で分析をしてみましょう。複数の問題をあげた上でアプローチする問題を定めることができ、自分たちの打ち手がパーフェクトに全ての状況を解決するわけではないことを認識できます。
⑤目的分析
課題を解決するために考えられる打ち手を洗い出し、活動を定めてビジョンとの繋がりを確認します。自分たちの打ち手だけで全てが解決するわけではないので、他機関も絡み合って総合的に望ましい状態にするという広い視野を持つとよいと思います。活動していくとどうしても手段が目的化することがあるので、目的分析として図に整理することをおすすめします。
①調査・リサーチ
②関係者インタビュー
③システムの可視化
④問題分析
⑤目的分析
の5つのステップを進めます。(図2)
(図2)課題の深掘り
①調査・リサーチ
課題を取り巻く状況を網羅的に把握しましょう。世界・国レベルの動向を掴んでおくと事業モデルを立てるときに役立ちます。また、問題の大きさや対応策については、行政の統計データや各業界のレポート、書籍など該当分野の情報を集めることが多いです。そして、対象の地域の情報を対象者や対象者の関係者の方々にリサーチすることがこのフェーズでは考えられます。
②関係者インタビュー
現場に足を運ぶ大切な作業になります。関係者インタビューで課題を深掘りする方法として、無意識に行っている行動から深層心理を見出す「行動観察」と本音を探る「個別インタビュー」がありますが、個別インタビューは問題や条件によって難しいところもあるため、観察とインタビューを組み合わせるのがよいと思います。インタビューは少なくとも3人、できれば10人を目指して話を聞いてみましょう。
③システムの可視化
課題は複雑に入り組んでいる可能性があるので、収集した情報をもとに対象者やその関係者の状況を図にして、システムの可視化をしてみましょう。今後事業モデルをつくっていく上で、サポートしてくれそうな人やネガティブな影響を与えてきそうな人などが明らかになり、それらの関係者と手を組むことに繋がるかもしれません。
④問題分析
ここから対策にいきたいところですが、問題分析をすることで適切な打ち手を生み出すことや自分たちの姿勢が誤っていた際の助けになります。具体的には、因果関係・要素分解といった考え方で分析をしてみましょう。複数の問題をあげた上でアプローチする問題を定めることができ、自分たちの打ち手がパーフェクトに全ての状況を解決するわけではないことを認識できます。
⑤目的分析
課題を解決するために考えられる打ち手を洗い出し、活動を定めてビジョンとの繋がりを確認します。自分たちの打ち手だけで全てが解決するわけではないので、他機関も絡み合って総合的に望ましい状態にするという広い視野を持つとよいと思います。活動していくとどうしても手段が目的化することがあるので、目的分析として図に整理することをおすすめします。
事業プラン【ビジネスコンセプト】
①ビジネスモデル
②ペルソナ・カスタマージャーニー
③4Pフレームワーク
④収益モデル
を押さえれば企画書をつくる際に必要な情報は集められると思います。(図3)
(図3)ビジネスコンセプト
①ビジネスモデル
対価型、寄付・助成金型、行政の受託型、労働型の4つの型で、みなさんのどれが1番近いビジネスモデルかなと考えていただければと思います。対価型は、組織がモノ・サービスを提供して対象者または対象者に代わる方がお金を払うというかたちです。公益性が低いことや競合がでてくる可能性が考えられますが、1番思い浮かぶビジネスモデルはこのかたちかもしれません。寄付・助成金型は、NPOに多いパターンで、個人や法人、財団、企業、行政からもらったお金をもってモノ・サービスを提供するかたちです。公益性や共感性が高く、対象者の支払いが難しい領域でこのビジネスモデルが使われます。行政の受託型は、行政が公募をして採択されたら対象者にモノ・サービスを提供するかたちですが、事業内容は仕様によって定められていることも多いので自由度は下がります。労働型は、対象者を雇用することで労働を提供してもらい、社会参画を促すかたちです。これによって適切な報酬や安定的な雇用を生み出します。どういったかたちがいいかというのは、みなさんが向き合いたい社会課題や対象者の状況によって変わっていくと思いますので、どのビジネスモデルか検討してみてください。
②ペルソナ・カスタマージャーニー
ペルソナを描くと誰に何を届けるのかという具体的なイメージが掴めると思います。ペルソナとは、こういう人にこのモノ・サービスを使ってもらいたいということを言語化してモデルとするイメージです。そして、対象者をさらに理解するために行動をカスタマージャーニーとして対象者の行動を系列で並べて動きや感情思考が抱えるであろう課題を整理します。このように誰に(ペルソナ)、いつ(カスタマージャーニー)アプローチするのかが整理しやすいツールになります。
③4Pフレームワーク
ペルソナ・カスタマージャーニーが整理できたら、具体的にしていくために基礎的な4Pフレームワークというものがあります。マーケティングでよく使われるフレームワークですが、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションにわけて整理すると網羅的にやるべきことが押さえられます。プロモーションですと、どのように情報を得て、関心を持って、欲しい・使いたいと感じて、記憶して、行動にするのかというAIDMAというフレームワークがよく知られています。
④収益モデル
最後に、収支表を整理します。ビジネスモデルによって整理の仕方は適宜合わせていただきたいのですが、損益分岐点や収益化のポイントであったり、一旦みなさんで整理をしてみてください。(図4)
(図4)収支表
②ペルソナ・カスタマージャーニー
③4Pフレームワーク
④収益モデル
を押さえれば企画書をつくる際に必要な情報は集められると思います。(図3)
(図3)ビジネスコンセプト
①ビジネスモデル
対価型、寄付・助成金型、行政の受託型、労働型の4つの型で、みなさんのどれが1番近いビジネスモデルかなと考えていただければと思います。対価型は、組織がモノ・サービスを提供して対象者または対象者に代わる方がお金を払うというかたちです。公益性が低いことや競合がでてくる可能性が考えられますが、1番思い浮かぶビジネスモデルはこのかたちかもしれません。寄付・助成金型は、NPOに多いパターンで、個人や法人、財団、企業、行政からもらったお金をもってモノ・サービスを提供するかたちです。公益性や共感性が高く、対象者の支払いが難しい領域でこのビジネスモデルが使われます。行政の受託型は、行政が公募をして採択されたら対象者にモノ・サービスを提供するかたちですが、事業内容は仕様によって定められていることも多いので自由度は下がります。労働型は、対象者を雇用することで労働を提供してもらい、社会参画を促すかたちです。これによって適切な報酬や安定的な雇用を生み出します。どういったかたちがいいかというのは、みなさんが向き合いたい社会課題や対象者の状況によって変わっていくと思いますので、どのビジネスモデルか検討してみてください。
②ペルソナ・カスタマージャーニー
ペルソナを描くと誰に何を届けるのかという具体的なイメージが掴めると思います。ペルソナとは、こういう人にこのモノ・サービスを使ってもらいたいということを言語化してモデルとするイメージです。そして、対象者をさらに理解するために行動をカスタマージャーニーとして対象者の行動を系列で並べて動きや感情思考が抱えるであろう課題を整理します。このように誰に(ペルソナ)、いつ(カスタマージャーニー)アプローチするのかが整理しやすいツールになります。
③4Pフレームワーク
ペルソナ・カスタマージャーニーが整理できたら、具体的にしていくために基礎的な4Pフレームワークというものがあります。マーケティングでよく使われるフレームワークですが、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションにわけて整理すると網羅的にやるべきことが押さえられます。プロモーションですと、どのように情報を得て、関心を持って、欲しい・使いたいと感じて、記憶して、行動にするのかというAIDMAというフレームワークがよく知られています。
④収益モデル
最後に、収支表を整理します。ビジネスモデルによって整理の仕方は適宜合わせていただきたいのですが、損益分岐点や収益化のポイントであったり、一旦みなさんで整理をしてみてください。(図4)
(図4)収支表