令和5年2月11日(土・祝)、宮前区役所2階ロビー、4階大会議室他で、「あなたの『ふつう』はみんなの普通?」と題した、地域包括ケアシステム構築に向けたイベントが開催されました。
さまざまな疑似体験を通して、異なった立場を体感してみよう、というイベントです。


体感することから発見

「実際に“体験する”ことで、全く気付かなかったことが見えてきた」
「目からウロコ、とはこのことでした」
「今日の体験を活かすためにもっと学びたいと思います」

来場者からはこのような感想が多く聞かれた体験型のイベント。障害者、高齢者や妊婦、幼児・児童などのテーマと向き合い活動する団体や施設等が一堂に会し、多様性を体験するワークショップなどが行われました。来場者は、ミニ講座や出展ブース等を回り、自分と異なる立場を体感することで、自分が思い込んでいたかもしれない「ふつう」について新たな視点を得るという仕組みで、家族連れなど幅広い世代の参加者で賑わいました。

知らぬ間に社会が作っている“意識のバリア”

4階の大会議室で開催された“バリアフルレストラン”は、“バリアフリー”ではなく“バリアフル”=バリアがいっぱいという意味のレストランです。車いすユーザーが多数派となった架空世界で、少数派の“二足歩行者”として入店するという疑似体験プログラムで、店内は天井が低く、テーブルも低く、椅子がありません。車いすユーザーに合わせた設計や設備だけでなく、店員の対応によっても、「逆転した世界での意識」に気づかされます。
レストランではいろいろと話しかけられました。「椅子は需要が少ないから量産されていなくてとても高価なんですよ。でもバリアフリーを進めなくちゃいけませんからね、椅子が必要な人のために先日やっと一脚購入したんですよ」と自慢されたり、「ここまで電車で来たんですか?えっ!二足歩行なのに介助者なしで?一人で?それはすごい!えらいですね!」と労われたり…。

40分間の体験を終えて、ある参加者(建築設計業)は、「接客で車いすの方と話す機会もありますが、自分が何気なく使っている言葉も、無意識のうちに“上から目線”ではなかったか。設備も、誰もが気持ちよく使えるものでなくてはいけないと、大変勉強になりました」と話してくれました。

体験コーナー、マルシェ、アート展ほか、14団体が出展

マルシェでは、障害者事業所等の手作りクッキーや干しシイタケ、障害者就労施設(農園)の新鮮な無農薬野菜などを販売。野菜ブースの担当者からは、「私たちの農園はキャリアが長く、地元の方々と広く強くつながっています。新しく活動を始めて地元との接点が欲しいという団体や個人の役にも立てると思います。是非声をかけてください。今日は交流が盛んで、とても有意義な機会になりました」という感想を聞くことができました。

体験コーナーでは、子どもたちも車椅子に乗ってみたり、押してみたりして体験していました。乗車体験者は、「床のタイルの窪みや小さな段差って意外と響くのですね」と、新たな発見があったそうです。高齢者体験では、装具をつけて脳梗塞などで半身麻痺になった場合の後遺症状態を体験できました。妊婦体型の装具をつけてみた男性は「重いですね!かがむのが辛いです」と驚いていました。

また、2つの保育園の園児が手話ダンスや体操を披露し、最後に宮前区オリジナル「だいすきメロコス体操・ダンス」で参会者も一緒に盛り上がりました。この他、福祉作業所等による絵画作品を展示したアート展、図書館で常設している「認知症の人にやさしい小さな本棚」の紹介がありました。

出展者どうしのネットワークも広がる機会に

「多方面からの出展によって他の活動を知る機会になりました。他団体と協働するなど、今後の活動に生かしていきたい(出展者)」
「来場した色々な活動をしている方と話ができたことも大きな収穫でした。なんでもない雑談から他団体との交流ができたり、そこからアイディアが生まれたり、協働に発展したりすることがありますから。とても有意義なイベントでした(福祉活動団体所属者)」

訪れた参加者からも、出展者からも「新たな交流ができた」との声が聞かれたこのイベント。多様な人々が集まったことで、更なる広がりが期待されます。

(取材日 2023年2月11日)

■参加団体等一覧
【マルシェ】トゥーランプラン宮前、はぐるまの会、宮前ふれあいの家
【体験コーナー】手の花(手話サークル)、手の輪の会(手話サークル)、みやまえエコー(音訳ボランティア)、宮前区社会福祉協議会、川崎市介護福祉士会、宮前区民生委員児童委員協議会、土橋宝翠保育園、土橋保育園
【アート展/図書紹介】セルプ宮前こばと、三橋昭氏(レビー小体型認知症当事者)/宮前図書館
■ミニ講座のアーカイブ配信のお知らせ
「ミニ講座」等をYouTubeで視聴することができます。
申込は、市役所ホームページの、YouTube視聴申込フォームから。
https://logoform.jp/form/FUQz/215100
6つの「ミニ講座」(各30分)は、令和5年3月まで視聴できます。当日の様子をまとめたダイジェスト動画(15分)も公開しています。
【ミニ講座のテーマ】
・だれもが「ふつう」に使える図書館を目指して
・認知症による「幻視」の世界~「麒麟模様の馬を見た」の著者が語る~
・目で見ることば~手話の世界~
・耳の聞こえない人の五輪~デフリンピックが日本に!~
・視覚障害者に「文字情報」を伝える~音訳を知る~
・子どもが地域を見つめると
宮前区地域包括ケアシステム推進イベント「あなたの『ふつう』はみんなの普通?」
問合せ:宮前区役所地域みまもり支援センター地域ケア推進課
電話:044‐856-3300
  • バリアフルレストラン

  • マルシェ

  • 手話体験

  • 保育園児の手話ダンス 

  • 幼児視界体験用メガネ

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