• (図1)社会起業家のための会社

  • (図2)不登校のフェーズ、原因

  • (図3)夢中教室WOWで解決したい社会課題

  • (図4)夢中教室WOWのビジネスモデル

  • (図5)スモールスタートの大切さ

K-NIC Social Business School
地域や社会の課題に対して、自ら培ってきた知識、経験、ネットワーク等を活かし、ビジネスの手法を用い収益もあげながら解決を目指す、ソーシャルビジネスによる起業に関心がある方が近年増えています。そうした方を対象とした、川崎市ソーシャルビジネス連続講座「『K-NIC Social Business School(全6回)」を2022年10月から12月にかけて、Kawasaki-NEDO Innovation Centerにおいて開催しています。
このセミナーは、起業時にメリットが受けられる「特定創業支援」の認定を受けており、所定の要件を満たした方は法律に基づく支援を受けることができます。今回の受講生には、会社員をしながらも社会的な事業に関わるきっかけを模索されている方、個人事業主としてお仕事されている傍ら新規事業を立ち上げたいと検討されている方、持続可能な事業展開と組織運営の課題を抱えるNPOの方など、個性的で幅広い背景や思いをお持ちの方にお集まり頂いております。

第1回 10月13日 事例に学ぶソーシャルビジネス part1 ~不登校学生の個性と未来を照らす、夢中教室WOW!の授業とは?~

本イベントではソーシャルビジネスを如何にビジネスとして成立させ、成長させていくか。事例を用いながらお伝えしていきます。第1回目の今回は、ボーダレスグループに所属されている、ワオフル株式会社 代表取締役社長 辻田 寛明 氏 に語って頂きました。
簡単に概要を纏めましたので、気軽にご一読いただければ幸いです。

講師プロフィール

ワオフル株式会社 代表取締役社長 辻田 寛明 氏
1993年生まれ。2018年にボーダレスジャパンに新卒入社し、2020年にワオフル株式会社を設立。
会社情報:ワオフル株式会社
不登校専門のオンライン探究家庭教師
https://wowfull.jp/

目次

・ボーダレスグループが考えるソーシャルビジネスとは?
・夢中教室WOWが取り組む社会課題
・起業して2年で得られた学び
・これから社会起業を目指す方へのメッセージ

ボーダレスグループが考えるソーシャルビジネスとは?

【ソーシャルビジネスしかやらない会社】
今回講演いただいた辻田さんの所属するボーダレスグループは社会問題をビジネスを使って解決する会社です。

社会問題とは「社会の欠陥・不合理から生まれる社会生活に支障をきたす大きな問題」のことで、誰かが取り残されている状態のことを言います。
人々の不満や不便はマーケットのニーズがあるため、商売になるため多くの人がビジネスにしますが社会問題の解決はマーケットから放置されているため儲かりづらく誰もやりたがりません。
ボランティアの人たちは自分たちが儲かることは考えずに社会問題に取り組みますが、経済的に自走できる仕組みを作って活動していないと長くは続きません。
経済的に自走できる状態というのは、ビジネスとして利益を出してそれを再投資ができる状態のことです。
そのため社会問題はビジネスマンが挑むのが最適であり、持続可能な社会活動家と言えるでしょう。

ボーダレスグループは持続可能な社会活動家の数=解決される社会問題の数だと考え、どうすればこれをたくさん作り、世界に広げることができるのかを考えて活動しています。

社会起業家たちのプラットフォームとしてノウハウ、資金、人事を提供し次世代の社会起業家がどんどん生まれる仕組みを構築し提供しています。

夢中教室WOWが取り組む社会課題

近年不登校が増えており、クラスに1人や2人は学校にきていない子がいるのは当たり前になっています。
その中でもフリースクールに通っている子はわずか3%しかおらず、ほとんどの子が家から出られない状態なのが現状です。
また不登校にはフェーズがあり、フリースクールに通えるような子たちはフェーズの一番最後の段階である活動期の子だけです。

しかし、支援策の多くはフリースクールなど活動期の不登校児を対象にしたもので家から出られない子たちへの支援策はほとんどありません。

そこで、辻田さんが運営する夢中教室は家から出られない子たちの支援策を作る活動をしています。

子どもたちが不登校になる理由は100人いたら100通りですが、画一的な義務教育に合わない子たちが不安や無気力になることが一番多い理由です。

この画一的な義務教育が合わない子たちは「普通」というレールから外れてしまったと感じてしまい自己肯定感が下がり生きづらさを感じてしまうことが一番の問題です。
学校が合わずに不登校になってしまった子たちにとって他の選択肢が無いことがこの問題の原因と言えます。
このようになってしまった子たちに、それでも人生は面白いと思えるような選択肢があると将来を前向きに捉えることができ自分の人生を歩めるようになります。

このような問題からどのようにビジネスを作っていくのかを考えて夢中教室WOWが作られました。
夢中教室WOWは「伴走型コーチングプログラム」を通し、不登校の子たちの段階を上げていくというビジネスモデルです。
具体的には、なんでも受け入れてくれる大人が在籍し、一人一人の興味関心に合わせたオーダーメイド授業を通して子どもたちの自己肯定感を上げていくというものです。
一人一人のテーマを選ぶ際はマインドマップを使用し、その子の興味関心を明らかにしていきます。
学んでいく内容は学校で習うようなものとは遠いものでもその子が強い関心を持っていることが採用されます。
これまでの生徒の中には恐竜やゲームのマインクラフトなどをテーマにした生徒がいました。

1対1の授業で徐々に自信がついてきたら、次は少人数ゼミのステップに移ります。
近い分野を学ぶ数人での体制での授業になり、自己肯定感を上げていくための階段を登っていきます。

起業して2年の学び

辻田さんは夢中教室WOWを立ち上げて軌道に乗せていくまでに様々な経験を経ていく中で、起業を進めていく上でスモールスタートが大事だということを学んだと仰っていました。

わからないことや不確定なことがでてくるのは当たり前ですが、それを長い時間リサーチに費やしていたり本を読んで学んでいるだけではいつまで経ってもビジネスは前に進んでいきません。
それよりも早い段階で仮説検証に踏み込んで動いていくことが大事です。

さらに、プランがうまくいかなかった場合は「誰の」「どんな課題を」「解決するのか」の「誰の」に当たる人にヒアリングをすることをおすすめします。
“百考は一聞にしかず、百聞は一見にしかず”です。

これから社会起業を目指す方へのメッセージ

2年間続けてきて「自分が本当にやりたいことだった」というのが大きいなと思います。

『誰の』『どんな課題が』『どう解決されるか』 の、未来像に対して自分がどれだけワクワクできるかが本当に大事です。
それに対して実績が増えていった時にやりがいを感じました。
「自分がなぜやりたいのか」「ワクワクするところ」を立ち帰る場所として持っていくことが大事かなと思います。

この記事に関する問合せ先

団体名
川崎市経済労働局イノベーション推進部
電話番号
044-200-0168
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