• パサール新城の看板

  • 新城テラス入り口

  • マルシェの様子

  • 新城テラスロゴマーク

  • オーナーの石井秀和さん

武蔵新城駅北口「はってん会商店街」にある、石井秀和さんがオーナーを務める賃貸マンション「セシーズイシイ7」。そこの1階部分に暮らしの広場「PASAR SHINJO(パサール新城)」があります。
元々駐車場だった部分をリノベーションして、入居者だけでなく地域に開かれたスペースにされています。
レンタルスペース「PASARBASE(パサールベース)」、パン教室「Baking Studio ’’sucre a la neige’’(ベーキングスタジオ ’’シュクレ ア ラ ネイジュ’’)」、カフェ「新城テラス」と複合施設になっていて、パン教室は以前自宅で教室を運営していたママが運営しており、カフェのオーナーは石井さんですが、地域の子育てママである小林美代さんが店長を務めています。
お洒落な外観のマンションの中にあるパサール新城は地域の人々、特に小さな子供のいる若いお母さんたちの支持を受けて今や武蔵新城のシンボルとなっています。
 
石井さんの実家は元々農業を営んでいましたが、石井さんのひいおじいさんが自分の農地に借家を建てて賃貸業を始めました。その事業がお父さんに受け継がれ、賃貸する物件も木造から鉄筋コンクリート構造の建物へと建て替えられました。
更に年月が経ち、石井さんもお父さんを助けて一緒に不動産大家業を営むようになり、そしてお父さんから事業をひき継いだ時「自分の代では何をするべきか」相当に悩み考えたそうです。お父さんの代で建て替えた鉄筋コンクリートの物件も老朽化してくるので石井さんの代でまた建て替えなければならなくなりますが、先代の時と違い建築の基準は当時より厳しくなっているので同じ容積の建物で同じ部屋数をとったとしても確実に建て替え前よりも狭小になる、部屋の魅力が少なくなれば入居者も減り家賃の単価も落ちていく・・・今までと同じやり方を前向きに捉える事が出来ず、そこをどうすればよいのかずっと模索を続け、自分なりの答えを出そうと動き回っていた時、ある講座に参加した事でガラリと意識が変わる大変なショックを受けました。

その講座とは不動産関係のリノベーションスクールで熱海で開催されたものですが実際に地域の遊休不動産を提供され、どのようにその物件がリノベーションされれば地域の役に立つのか考えて事業計画を立てるというものでした。建物一棟で満足させるのではなく地域トータルで考えるやり方を学び、大きな刺激を受けたそうです。
今年の一月に開催された4回目のスクールではサポート側として参加して、現在その講座を受講した仲間たちと共に、熱海でシェアハウス事業が立ち上がりつつあります。この受講をきっかけに様々な人との出会いがあり、設備を整えるといったハードウエアの不動産からその地域で暮らすことに満足を覚えるようなソフトな面に寄った考え方をするようになりました。
パサール新城も構想を立て始めた時はまず仕事として“入居者に満足してもらうにはどうすれば良いか”から始まりました。そうするとコミュニティを形成するというソフトな面を打ち出そうとしても、若い入居者たちはせいぜい全62戸の1割である6人くらいの参加がいいところだと思われ、それだったら入居者だけで6人集まるよりも武蔵新城のまちの人を100人集めてその中に6人が参加してもらった方がずっと楽しいだろう、地域に開いて入居者に参加してもらう方が良い、入居者は週末が集まりやすいが、平日のターゲットはどんな人たちだろう?と考えて子育てをしているお母さんたちに目が向きました。
高津区、中原区のあたりは若い子育て世代のお母さんが多く、その時は30~40代の若いお母さんたちとキャリアを持ってるシングルの若い人たちはそんなに価値観は変わらないだろうという考えのもと、マンションの敷地内に常設の店舗を持って、若いお母さんたちが支持してくれれば自分の入居者であるシングルの若い人とも繋がりやすくなる、との思惑から始まりました。
実際には若いお母さんたちとシングルの若い人たちの価値観が似たようなものであるはずはなく、外観がお洒落に生まれ変わったセシーズイシイ7は、パサール新城がなかったとしても満室だったのではないかと考えられます。
実際の思惑から外れたといっても30代ぐらいの若い世代の人たちが石井さんの周囲に集まってきたのは無駄な事ではなく、むしろ地域で何かをやろうとしたときに彼らや彼女たちがパワーとなっているのは間違いありません。だんだんと大きなことが出来るようになり、地域のマルシェ「marche de bonheur(マルシェ ドゥ ボヌール)」や武蔵新城の学ぶ場である「新城まちなカレッジ」などにつながってきています。

今回の石井さんの事例はソーシャルな考えから始まって地域の活動をされている方々からすると少々違和感を持たれるかもしれません。しかし自身の事業経営を通して地域が豊かになり、地元の価値が上がって誰もが住みよい豊かな地域になれば最終的に自社へ利益が還元される。こうした循環もソーシャルビジネスの一環ではないでしょうか。各方面から石井さんが注目されている所以であると思えます。
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