こすぎの大学 岡本 克彦 さん

日々変貌を遂げるまち武蔵小杉。ここでは、武蔵小杉に住む人、働く人、武蔵小杉が大好きな人による多くの化学反応が起きています。その触媒となり、様々な出会いの学び舎となっている「こすぎの大学」。今秋で開校5周年を迎えるこの企画を通して感じること、まちへの想いなど、企画編集ユニット「6355」の岡本さんにたっぷりと語っていただきました!

川崎に住む!?

-今や武蔵小杉の仕掛人と言われている岡本さんですが、武蔵小杉との関わりはどのようなものでしょうか?

出身は横浜、生まれてから20年以上横浜に住んでいました。その頃の川崎のイメージは正直よくなかったですね。「危ない、怖い」とか。よほど用事がなければ降りませんし。横浜の映画館が混んでて観れないってときに、川崎なら空いてるからって、仕方なく来てたくらいですかね。
NECに就職し、結婚後は数年小田原に住みましたが、その後、転勤もあって会社の社宅に引っ越すことになりました。そこが武蔵小杉、まさかの川崎に住むことに。

黒船来襲!ピンチはチャンス!

-まさしく青天の霹靂、人生わからないものですね(笑)

仕事の中でもドラマがありまして、就職したNECでは、昔のパカパカ(折畳み式)ケータイ、いわゆるガラケーやスマートフォンの商品企画をやっていました。
実は、それが今の活動のきっかけにもなっているんですが、僕が担当していた頃は、NECの携帯電話は日本で4割くらいのシェアがあったんです。なので、自分の企画した商品は必ずヒット。気分いいですよね。天狗になっちゃって(笑)
ところが2008年7月、iPhoneの上陸!まさに黒船の来襲ですね。iPhoneが携帯電話市場を席巻していきました。このままではiPhoneに対抗できない、従来の考え方ではいけないと、新しい発想が求められるようになりました。
そこで、NECだけに閉じこもっているのではなく、会社の外へ出て、企業同士の連携を通じて新しいヒントを得ようと、業種を超えた仲間たちと共に「企業間フューチャーセンター」を立ち上げました。業種は違いますが、社会課題解決や社会価値創造(共通善)のために、一緒になって取り組みましょうと。いわば、断崖絶壁のピンチを乗り越えるため、これまでのやり方を改め、組織や枠組みを越境し、多様な人たちとの共創により、それぞれの良さを再結合することで、新しい価値を創出する感じですね。

地域との接点、「こすぎの大学」の開校

-まさしく仕事で交流型イノベーターの役割を果たされていますが、地域とのつながりのきっかけはどのようなものでしょうか?

そんなビジネスに取り組む中、家も会社も武蔵小杉で、自転車で往復する毎日だったのですが、会社の活動を通じては色々な人と関わっているのに、地元ではそういうことが何もなくて、ギャップというか、急に寂しい気持ちになりまして。地域での知り合いが欲しい、もっとまちを知りたいと思い、インターネットで知った「こすぎナイトキャンパス読書会」に参加しました。それが今の「こすぎの大学」、企画編集ユニット「6355」のメンバーとの出会いでした。読書会に加えて、武蔵小杉をより知るためのコミュニティも作りたいということになり、そうして出来上がったのが「こすぎの大学」です。「こすぎの大学」では、武蔵小杉での活動を紹介する’’先生役’’と、それを聞いて気付きや発見、自分にできることを話し合う’’生徒役’’が一緒に自分たちの住むまちについて考えます。この形式は「企業間フューチャーセンター」で学んだワールドカフェやフューチャーセッションの方法を採用しています。

誰もがヒーローになれる!

-活動する中でよかったことはなんですか?

まちを知れた、友達ができたことが大きいですね。自分の生活の仕方も変わりました。以前は時にはポイ捨てをすることもありましたが(笑)、でも知り合いがたくさんできて、その人たちが暮らすまちだから丁寧に暮らそうと。誰かに見られるからではなく、そもそもやろうと思わなくなりました。
また、以前は川崎市と聞くと市役所を、中原区と聞くと区役所のように「建物」を思い浮かべていましたが、今は街に暮らす仲間をはじめとする’’人’’を思い浮かべるようになりました。まちの魅力として、’’人’’って部分はすごく大事ですね。人に加えて自然などの景観も魅力なので残していきたいです。

-活動の手応えはどうでしょう?

「こすぎの大学」は2013年から始めて、今秋で5周年。毎月1回のペースで、7月までに67回開催したのですが、よく「講師(先生役)の方を見つけて呼ぶのって大変じゃない?」って言われるんです。でもそんなこと感じたことなくて、ほとんどが自薦・他薦なんです。懇親会とか飲み会の場で「あれ話したい」「こんなことできる」ってことをポロっと言ってくれて、「じゃあよろしく!」って。だから手応えというと、武蔵小杉で活躍している人や思いがある人はたくさんいて、誰もがヒーローになれるというか、誰でも先生役になれる、一部の人だけでなく、みんながすごい!というのは実感しています。

-今後の展望は、例えばもっと活動を広げていきたい!などありますか?

敷居を高くしない、活動を大きくしない、無理しない、というのをメンバーとの約束にしています。誰もが参加しやすく、また抜けやすくするために敷居は低いまま、「こすぎの大学」を大きくするのではなく、関連する方々のコミュニティの立ち上げを支援するというスタンスです。例えば、「こすぎの大学」では昨年からおしゃべり部やパパ部、ポタリング部などの「部活動」という参加者が主体となる小さなコミュニティをスタートしました。僕も主催者でなく、参加者として楽しむ。今日はここ、次はあっちに行ってみようっていう風に、一人が複数のコミュニティに参加していることで、もっと豊かな地元ライフを満喫できると思います。

みんなやさしい!

-かわさきのイメージ、今はどんなことを思いますか?

おもしろい!形も縦長、細長で日本列島みたいですね。南の川崎区と北の多摩区・麻生区とで全然文化が違う、多様性・個性があって、それが楽しい。これだけ人がいるのに、お互いに尊重し合って、信頼関係のある、緩やかなつながりもありますね。横浜にいたころの怖いというイメージはなくなり、今の川崎にはやさしさをすごく感じます。そこは自慢したい。
その中でも武蔵小杉は恵まれていると思います。今、まちづくりのチャンスだと。変化が激しい分、変化を知りたい、好奇心が溢れている人が多い。これから住む人は新しいまちを知りたい、僕らも人を知りたい、だからつながるチャンスですよね。今をきっかけにすれば絶対いいまちになると思います。

-人とのつながりをきっかけに、生活の中での楽しさが生まれたのですね。

僕自身まちのことを知らなくて、でも一歩踏み出したら「6355」のメンバーと出会って、そこから武蔵小杉、中原区とつながりが広がっていきました。なので、自分一人で何かやるのは大変だけど、一歩踏み出せば誰かがいて、仲間になれる、その仲間といろんなことに挑戦できるチャンスが、武蔵小杉、川崎にはあると思います。何かに参加してみる、誰かに相談してみる、そうするだけでまちでの生活が変わると思うし、実際に僕は大きく変わりました。今では住んでいてすごく楽しいです。-岡本さん、ありがとうございました!事務所までわざわざお越しいただいて。
今日はちょうど仕事の帰り道で、早く帰るきっかけに。これから趣味のせんべろです(笑)

取材を終えて

自ら積極的に越境し、新しい価値を創出し続ける岡本さん。決して身構えることなく、自然体でまちの人々の様々な想いを紡いでいく、その姿勢は周囲への優しい眼差しと他者へのゆるぎない信頼に基づいていると感じました。
そんな岡本さんを中心とした多様な人々と気軽に出会える機会が「こすぎの大学」です。ぜひ一度、参加してみてはいかがでしょうか。

武蔵小杉のソーシャル系大学「こすぎの大学」

毎月第2金曜日19時30分~21時00分

詳しくはホームページをご覧ください。

第68回「こすぎの大学~武蔵小杉で親子のプログラミング教室~」※夏休みスピンオフ企画!

8月25日(土)9時30分~12時00分(受付9時00分~)
場所:武蔵小杉周辺 ※参加者に個別連絡します。
先生役:雲のプログラミング教室 兼平和幸さん、松下泰男さん

第69回「こすぎの大学~武蔵小杉でShall we ダンス?~」

9月14日(金)19時28分~21時15分(受付19時00分~)
場所:中原区役所5階会議室
先生役:社交ダンスエバンジェリスト 鈴木宏明さん

  • 岡本克彦さん

  • 「かわさき色輪っかつなぎ」にて

  • 「Colors, Future!」

  • 武蔵小杉を表現する漢字

  • 「こすぎの大学」ロゴマーク

この記事に関する問合せ先

団体名
協働・連携推進課
電話番号
044-200-2167
この情報をシェアする
SNSボタンをクリックすると別ウィンドウで開きます